ルイドールだけじゃない!今後楽しみな「ドール」金貨を一挙ご紹介!

フランスを中心として、中世ヨーロッパではさまざまな「ドール」金貨が発行されてきました。

「ドール」とは、フランス語で「金色」と言う意味があり、有名どころで言えば、ルイドール金貨やムートンドール金貨、ソブリンドール金貨などがございますが、他にも各国でさまざまなドール金貨が発行されておりました。

アンティークコインとして今後大きく羽ばたきそうなドール金貨を今回はいつくか紹介させて頂きます。

ベルギー グリフィンドール金貨

グリフィン(またはグリフォン)とは、鷲獅子とも呼ばれており、鷲の頭と翼をもつ獅子です。金鉱の番人として金を守る役割を持っており、数々の神話や聖書にも登場する伝説の怪鳥です。紋章やゲームなどでもよく出てきますので、馴染みのある方もいるのではないでしょうか。

クイーンズビーストシリーズでもエドワード3世のグリフォンとして出てきましたね。エドワード3世はノーブル金貨を初めて発行した偉大な王ですが、王家で最初にグリフォンの図像を使用したと言われております。

近年、動物の絵柄は非常に人気が高く、また、歴史的な深みも考えるとこのコインは非常に有望だと感じています。

残存枚数が少ないので滅多に市場に出てくることはないかと思いますが、是非1度手にしてみたいコインです。

【参考オークションレコード】2022年1月にMS63+が約291万円で(18,000$×1.1×@147円)落札

NGC鑑定枚数5枚のみ

エドワード黒太子のレパードドール金貨

ヒョウを意味するLeopard(レパード・レオパード)ドール金貨は、英仏百年戦争でも活躍したエドワード黒太子の代表コインになります。

常に黒色の鎧をまとっていたことから、エドワードは「Black Prince」エドワード黒太子と呼ばれるようになったということで、シェイクスピアなどでも描かれていることから世界中にファンが多いプリンスです。

エドワード3世の長男で、ムートンドールでお馴染みのジャン2世を捕虜としたのがこのエドワード黒太子になります。

こんな感じで歴史とコインが繋がってくると、とてもワクワクしますよね ^^)

人気のエドワード黒太子にヒョウの紋章ということで、こちらも非常に人気がございます。

【参考オークションレコード】2022年1月にAU58が約368万円で(22,800$×1.1×@147円)落札

NGC鑑定枚数は全年度合わせても20枚のみ

オランダ ライオンドール金貨

こちらは当店でも1度紹介させてもらったことのある金貨ですが、1600年代にオランダとベルギーの国境付近にありますブラバントで鋳造されたコインになります。

年代は上記2枚と比べると新しく、残存枚数も多い為まだかなりの安価で入手が可能ですが、大人気のライオンのコインということもあり、いずれ爆上げしそうな予感がしています。

【参考オークションレコード】2021年10月にMS61が約63万円で(3,840$×1.1×@147円)落札

NGC鑑定枚数は全年度合わせても12枚ほど

フィリップ6世 パビリオンドール金貨

最後は動物ではありませんが、フィリップ6世のパビリオンドール金貨をご紹介します。

パビリオンとは建造物とかテントなどの仮設物・離れ みたいな意味があるのですが、こちらのコインはドレープされたportico(柱廊玄関)の中に座っているフィリップ6世が描かれているのでそう呼ばれているのだと思います。

ちなみこれはたまたまですが、Pavillon d’Orを直訳すると金の建造物、そう、「金閣寺」となります。

フィリップ6世も英仏百年戦争を駆け抜けた国王ですが、この時代のコインでこんなにもはっきり国王の肖像が描かれているコインは実は相当に珍しいです。

当時はコインに国王自身を刻印することはある種タブーとされていたようで、擬人化した動物や紋章などを用いることがほんととでした。1500年代に入りソブリン(国王の)金貨が発行されてからは、広く国王の肖像が描かれることが一般的となりました。

フィリップ6世はカペー朝の断絶ののち、ヴァロワ朝初代国王として即位をしましたが、「拾われっ子の国王」と呼ばれ、この王朝は決して強いものではありませんでした。英仏百年戦争の真っ最中ということもあり、自らの権力を少しでも誇示しようと思い、この金貨を発行したのではないでしょうか。非常に興味深い1枚です。

コインに絡めてお話すると、フィリップ6世と対立したのがノーブル金貨のエドワード3世、フィリップ6世の息子がムートンドールのジャン2世となります ^^)

【参考オークションレコード】2022年1月にMS64★が約524万円で(32,400$×1.1×@147円)落札 NGC鑑定枚数は26枚ほど

いかがでしたでしょうか。結構知らないコインも多かったのではないのでしょうか。

日本ではまだまだコインはイギリス中心で、中世のヨーロッパのコインの知名度はまださほど高くはありません。良いコインはいっぱいありますので、少しずつ幅を広げていくとコインはもっと楽しくなりますよ ^^)

梅野さんのことだから、今回紹介したコインもう入手してるんでしょ?と言う声が聞こえてきそうですが、大正解です ^^)

全てではありませんが、この中のうちの何枚かはこの度入手をさせてもらっています ^^) 楽しみにしておいて下さい♪