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【世界最高鑑定】 1796年ジョージ3世1ギニー金貨 PCGS AU55
ジョージ3世ギニー金貨の世界最高鑑定品!鑑定枚数わずか3枚と非常に希少性が高く、AU55は最高鑑定です!!
↑ これ、実は嘘はひとつも言っていないんです。では、このコインは本当に希少性が高く、AU55は世界最高鑑定品と言えるのでしょうか?
まず、鑑定枚数3枚・AU55が最高鑑定という点についてですが、
これは「PCGS」「MS」そして「1796年」という狭い枠組みの中での話です。
ご存じの通り、鑑定会社は大手の2社あります。PCGSでは鑑定枚数は3枚かもしれませんが、NGCでも同じコインが鑑定されているはずですよね。調べてみると、NGCの鑑定枚数は10枚で、その中で最高鑑定はMS63が2枚でした。
この時点で、AU55が最高鑑定とはもう言えないですね。鑑定枚数も3枚から13枚に増えました。
次にMSとPFについてです。このコインにはPFはなかったのですが、コインによってはMS鑑定とPF鑑定がつくものがございます。基本、PFの方が高いです。コインによってはさらにPF CAMEO、PF ULTRA CAMEOと続きます。鑑定枚数はそれぞれ分けて数えますので、同じコインでも最高鑑定が何枚も出てくるという現象が起きます。
そして最後に、このコインには年度違いがございます。
ジョージ3世のギニー金貨は1787~1799年の12年間発行されていました。年度によって多少の違いはあるものの、デザインは同じで、そこまで大きな価格差はありません。12年間のトータルのMSの鑑定枚数を数えたら、NGCだけで750枚もありました。
さらに言えば、ギニー金貨には1ギニー、2ギニー、5ギニーと色々なサイズがありましたよね。この辺りを加味していくと、今回例に出したAU55の1ギニーは確かに世界最高鑑定と言えば世界最高鑑定なのですが、希少性の高い価値のあるコインかと言われれば「?」です。
私はこれを鑑定枚数のマジックと呼んでいます。
少々厳しい言い方になってしまいますが、この鑑定枚数・最高鑑定を鵜呑みにして購入してしまった場合は「自己責任」となります。先述の通り嘘は言っていませんので。
ですので、コインを購入するにはそれなりの「知識」・「下調べ」は必須になります。コインは本当に奥が深いので、何か分からないことがありましたら、何なりとご相談頂ければと思います。
今、Youtubeでコイン動画を配信しておりますが、こういったコイン講座的なものも次期にアップしていきたいなと企んでおります。今後とも宜しくお願い致します。
※ちなみに、今回例に挙げさせてもらったジョージ3世のギニー金貨がダメだという訳では全くございませんので、何卒ご了承下さい。皆様に鑑定枚数の仕組みを説明するために年度違いのあるギニーを選ばせて頂きました。